2通+@
20060718-15:53 コメント (2) トラックバックする
昨日試験から帰ってきて眠い頭でメールチェックしてたら操作ミスしてお便りを1通削除しちゃいました。内容は「バイクの事故の話を聞くと怖くて、免許を取るにも腰が引けてしまいそうです。なにかイシダさんのバイクでの良い思い出はありますか」って感じだったので、それについてまずお答えしておきます。
ぶっちゃけ、バイクがある生活自体が良い思い出です。ツーリングはもちろん楽しいですけれど、普段の生活での街乗りだって楽しいですよ。事故に気をつけ周囲に安心を与えるようなライディングを心がければイイんじゃないかなあと思います。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000303-yom-soci
ここに出てくる共謀共同正犯っていうのはぐるになった奴は関わり方に問わず適用される罪って意味?
お返事が遅れたせいで元記事が流れてしまっていますが、こちらの記事と同じですかね。まず、「関わり方に問わず適用される 罪って意味?」というご質問についての答えはNOです。
共同正犯とは、複数の者がお互いの行為を相互に利用・補充しあって特定の犯罪を実現した場合に、犯罪の一部にしか関与していない者についても犯罪全部についての責任が問われるものです。
刑法60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
例えば、2人の者が金持ちの家に押し入って強盗を行うことを計画し、ナイフで脅す役・奪ったお金を運ぶ役の分担を決めて犯行に及んだ場合です。一人一人の行動それ自体は単独では強盗行為には当たりませんが、両名で協力し自己の犯罪として強盗を実現していることから相互利用補充関係が認められ、両名とも強盗の罪責を負います。
共謀共同正犯とは、犯罪の謀議には参加したものの実際の犯罪行為は行っていない者について、犯罪の全部についての責任を問えるのではないかという理論です。先の強盗の例で言えば、実際に行為を行った2人に対してあらかじめ「あの家には金がある。見取り図をやるから強盗してこい。分け前は全員平等にしよう」と持ちかけていた者がいた場合です。
刑法60条の文言からは、謀議に参加しただけの者は「実行した者」と言えない為に、この理論を否定する説もあります(この場合、「強盗してこい」と言った者は強盗罪の教唆犯が成立するにとどまります)。しかし、重大犯罪の背後に居る関与者に犯罪全部の責任を問えないのは妥当でないこと、及び60条の文言は謀議に基づいて誰かが実行に出ればよく必ずしも全員が実行にでる必要はないとも読めることから、この理論を肯定するのが判例・通説です。
そして、謀議に参加したに過ぎない者を共同正犯として扱おうとするのですから、その者の犯罪への関与の程度は相当重大であることが必要になります。具体的には▼共謀の事実があり▼その共謀に基づいて全員が相互利用補充関係の下に犯罪を実行する意思を有し▼そのうちの誰かが実行に出たこと…が必要であり、しかも謀議に参加しただけの者の行為がもはや実際の犯罪の実行と変わらない程度にまで重要な役割を担っている場合にのみこの理論が肯定されていきます。
先の強盗の例で言えば、▼金持ちの家への強盗の共謀があり▼その共謀に基づいてお互いの行為を利用しつつ犯罪を実行しようとする意思が有り▼しかも2名が実行に出ています。さらに強盗の誘いや金持ちの家の情報・見取り図がなければそもそもこの犯罪は行われなかったと認められますし、分け前が折半である点からも全員が対等な役割を担って犯罪を共同実行していると言えます。とすると謀議のみに参加した者の役割は実行に出た者と同程度に重要だということになります。よって、謀議のみに参加した者も強盗全部の罪責を負います。
さて、記事には確かに共謀共同正犯と書いてありますが、書き方がかなり不正確です。
捜査本部によると、資材置き場での男子学生への暴行は、小林容疑者と元アルバイト先の後輩の少年(16)が中心になって実行。他の7人の中には、暴行に直接加わらず、見張り役をした者もいたが、捜査本部は、全員が暴行現場にいて、男子学生が殺害されることを認識しながら制止するなどした形跡がない点を重視。関与の程度にかかわらず、全員を共謀共同正犯に問えると判断した。
この「関与の程度にかかわらず」というのは「実際の殺害行為への関与の程度にかかわらず」と書くべきで、この記事のように書いては誤解を招きます。今回の事件では、全員が被害者の殺害について共謀し、実際に殺害行為を行う者、周囲で見張りをする者、被害者を拉致してくる者等という役割分担があったんでしょう。それゆえ、実際の殺害行為そのものには関与していなくても殺人罪の責任を問われる…ということだと思います。
シュリンクラップ契約って何ですか?
単なる場所の提供に過ぎない場合には重要な役割を担ったとは言えないので幇助にとどまると思います。また、集団を諌めた場合にはそもそも「謀議に参加」したとは言えないでしょうね。ここでいう謀議とは犯罪の実現を目指す話し合いの事であって、犯罪に反対するものは謀議の妨害者ではあっても参加者ではないでしょう。
繰り返しますが、共謀共同正犯は共謀の下にお互いがお互いの行為を利用補充しつつ犯罪を実行するものです。単なる場所の提供者は自らの行為を利用されることはあっても他者の行為を利用してはいませんし、集団を諌めた者の行為は犯罪を目指す者の役に立っていません。
>謀議のみに参加した者も強盗全部の罪責を負います。
上の場合、謀議の場所を提供したとか謀議の際に
集団を諌めたとかいった場合も「謀議に参加していたから」罰せられるのかな?