論文式試験終了
20060718-16:07 コメントする トラックバックする

今年から会社法とその関連法規が仲間入りしたせいで、とうとう法文が2冊構成になっちゃいました。刑法・刑事訴訟法等の刑事系が第2分冊へお引越し。
うーん、まだ腰と右腕が痛いな。しかも猛烈に眠いし…。今からバイトに行かなきゃいけないので、試験場でのこととか詳しいことはまた次回。それと物好きな人のためにとりあえず今年の試験問題だけはご紹介しておきます↓
憲法
第1問
国会は,主に午後6時から同11時までの時間帯における広告放送時間の拡大が,多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスを阻害する効果を及ぼしているとの理由から,この時間帯における広告放送を1時間ごとに5分以内に制限するとともに,この制限に違反して広告放送を行った場合には当該放送事業者の放送免許を取り消す旨の法律を制定した。この結果,放送事業者としては,東京キー局の場合,1社平均で数十億円の減収が見込まれている。この法律に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。
第2問
A市において,「市長は,住民全体の利害に重大な影響を及ぼす事項について,住民投票を実施することができる。この場合,市長及び議会は,住民投票の結果に従わなければならない。」という趣旨の条例が制定されたと仮定する。
この条例に含まれる憲法上の問題点について,「内閣総理大臣は,国民全体の利害に重大な影響を及ぼす事項について,国民投票を実施することができる。 この場合,内閣及び国会は,国民投票の結果に従わなければならない。」という趣旨の法律が制定された場合と比較しつつ,論ぜよ。
民法
第1問
Aは,Bに対し,A所有の甲絵画(時価300万円。以下「甲」という。)を200万円で売却して引き渡し,BはAに代金全額を支払った。Bは,その1か月後,Cに対し,甲を300万円で売却して引き渡し,CはBに代金全額を支払った。現在,甲はCが所持している。AB間の売買は,Bの詐欺によるものであったので,Aは,Bとの売買契約を取り消し,Cに対し甲の返還を求めた。
1(1) Aの取消しがBC間の売買契約よりも前になされていた場合,AC間の法律関係はどうなるか。考えられる法律構成を2つ示し,両者を比較しつつ,論ぜよ。
(2) (1)の場合において,Cが甲をAに返還しなければならないとき,BC間の法律関係はどうなるか。
2 Aの取消しがBC間の売買契約よりも後になされた場合,AC間の法律関係はどうなるか。考えられる法律構成を2つ示し,両者を比較しつつ,論ぜよ。 なお,これらの構成は,1(1)で示した2つの構成と同じである必要はない。
第2問
Aは,B所有名義で登記されている建物(以下「本件建物」という。)をBから賃借して引渡しを受け,
本件建物で店舗を営んでいる。Aは,賃借に当たってBに敷金を支払い,賃料もBに遅滞なく支払ってきた。ところが,本件建物は,真実はBの配偶者であるCの所有であり,CがBに対し,Bの物上保証人として本件建物に抵当権を設定する代理権を付与し登記に必要な書類を交付したところ,Bが,Cに無断でB名義に所有権移転登記を経由した上,Aに賃貸したものであった。
以上の事案について,次の問いに答えよ(なお,各問いは,独立した問いである。)。
1 Aが本件建物を賃借してから1年後に,Aは,その事実を知ったCから本件建物の明渡しを請求された。Aは,Cに対し,どのような主張をすることが考えられるか。
2 Aは,本件建物がBの所有でないことを知った後,Cに対してBとの賃貸借契約が当初から有効であることを認めてほしいと申し入れたものの,Cは,これを拒絶した。その後,Cが死亡し,BがCを単独相続したところ,Bは,Aが本件建物を賃借してから1年後に,Aに対し本件建物の明渡しを請求した。
(1) Aは,Bに対し,BがCを単独相続したことを理由に本件建物の明渡しを拒絶することができるか。
(2) 仮に(1)の理由で明渡しを拒絶することができないとすれば,Aは,Bに対し,どのような主張をすることができるか。 特に敷金の返還を受けるまで本件建物の明渡しを拒絶すると主張することができるか。
商法
第1問
Aは,個人で営んできた自動車修理業を会社形態で営むこととし,友人Dにも出資してもらい,甲株式会社を設立した。甲社は,取締役会及び監査役は置くが,会計参与及び会計監査人は置かないものとされ,取締役には,Aのほか,以前からAに雇われていた修理工のB及びCが選任されるとともに,監査役には,Aの妻Eが選任され,また,代表取締役には,Aが選定された(以上の甲社成立までの手続には,何ら瑕疵はなかった。)。
ところが,甲社では,取締役会が1回も開催されず,その経営は,Aが独断で行っていた。そのため,Aは,知人Fから持ち掛けられた事業拡張のための不動産の購入の話にも安易に乗ってしまい,Fに言われるまま,手付名目で甲社の資金3000万円をFに交付したところ,Fがこれを持ち逃げして行方不明となってしまい,その結果,甲社は,資金繰りに窮することとなった。
1 甲社の株主であるDは,A,B,C及びEに対し,会社法上,それぞれどのような責任を追及することができるか。
2 AがFに3000万円を交付する前の時点において,この事実を知った甲社の株主であるD及び監査役であるEは,Aに対し,会社法上,それぞれどのような請求をすることができたか。
第2問
大阪市内で電化製品販売業を営むY株式会社の代表取締役Aは,デジタルカメラの某人気機種を安値で大量に調達しようと考え,何度か取引をしたことのある「東京都内に本店のあるZ株式会社の大阪支店営業部長甲山一郎」と自称する人物(以下「B」という。)に対し,売主を探してきてほしい旨の依頼をしたところ,Bから,「Y社振出しの約束手形を所持していると仲介者として行動しやすい。売主との話がついたら返すから,取りあえず貸してほしい。」と言われたため,取引銀行から交付されていた統一手形用紙を用いて,その振出人欄に「Y社代表取締役A」と記名して銀行届出印ではない代表者印を押捺し,手形金額欄に「3,000,000円」と記入したものを,受取人欄,満期欄及び振出日欄を空白にしたまま,Bに交付した。
ところが,Bは,その受取人欄に「Z社大阪支店」と記入して満期欄と振出日欄も補充し,裏書人欄に「Z社大阪支店長甲山一郎」と記名捺印した上,これを割引のため金融業者Xに裏書譲渡し,その割引代金を持ったまま姿をくらました。その後の調査により,東京都内にZ社は実在するものの,同社には,大阪支店はなく,甲山一郎という氏名の取締役や従業員もいないことが判明した。
XがY社に対して手形金の支払を請求した場合,この請求は認められるか。
刑法
第1問
病院長である医師甲は、その病院に入院中の患者Xの主治医Aから、Xに対する治療方法につ
いての相談を受けた。Xに対して恨みをもっていた甲は、特異体質を持つXに特定のある治療薬を投与すれば副作用により死に至ることを知っていたことから、Aをしてその治療薬をXに投与させてXを殺害しようと考えた。そして、甲は、Aが日ごろから研修医乙に患者の検査等をすべて任せて乙からの報告を漫然と信用して投薬を行っていることを知っており、かつ、乙がAの指導方法に不満を募らせていることも知っていたので、AにXの特異体質に気付かせないままその治療薬を投与させるため、乙を仲間に引き入れることにした。
そこで、甲は、乙に対し、「Xに特異体質があるので、特定のある治療薬を投与すれば、Xは、死に至ることはないが、聴力を失う。」旨うそを言い、Aの治療行為を失敗させることによってAの信用を失わせようと持ち掛けた。すると、乙は、これを承諾し、甲に対し、「AからXの検査を指示されたときは、Aに『Xに特異体質はない。』旨うその報告をする。」と提案し、甲は、これを了承した。 その上で、甲は、Aに対し、その治療薬を投与してXを治療するよう指示した。そこで、Aは、乙に対し、Xの特異体質の有無について検査するよう指示したが、乙は、Xに対する検査をしないまま、Aに対し、「Xを検査した結果、特異体質はなかった。」旨報告した。
Aは、本来、自らXの特異体質の有無を確認すべき注意義務があり、もし、AがXの特異体質の有無を自ら確認していれば、Xの特異体質に気付いて副作用により死に至ることを予見し、その投薬をやめることができた。しかし、Aは、実際には、その確認をせず、軽率にも乙の報告を漫然と信用したため、Xの特異体質に気付かないまま、Xに対し、その治療薬を投与してしまった。その結果、Xは、副作用に基づく心不全により死亡した。
甲及び乙の罪責を論ぜよ(ただし、特別法違反の点は除く。)。
第2問
甲は、Xが個人として経営する電化製品販売店Y店舗において、同店舗の商品管理その他業務全般を統括する店長乙に対し、不正に取得した信販会社A発行で名義人Bのクレジットカードを使用する正当な権限がないのに、これがあるように装って同カードを呈示し、30万円のパーソナルコンピュータ1台の購入を申し込み、B名義で売上票に署名し,これを乙に渡した。
乙は、売上票を受け取った後、甲がBとは別人であって甲に同カードを使用する正当な権限がないことに気付いた。しかし、乙は、低迷しているY店舗の販売実績を上げるとともに店長としての地位を保とうと思い、甲に対する売上げを同カードによる正規の売上げとして処理することに決め、そのパーソナルコンピュータを甲に引き渡した。そして、乙は、信販会社Aの担当者Cに対し、B名義の署名のある売上票を送付して、甲に対する売上げは同カードを使用する正当な権限のない者に対する売上げであるのに、同カードを使用する正当な権限のある者に対する売上げであるように装い、代金の立替払を請求し、その旨誤信したCをして、信販会社A名義の普通預金口座からX名義の普通預金口座に30万円を振り込ませた。
甲及び乙の罪責を論ぜよ(ただし、特別法違反の点は除く。)。
民事訴訟法
第1問
訴状の必要的記載事項の趣旨を明らかにした上で、その不備を理由とする訴状の却下について、その裁判の形式と効果を踏まえて、説明せよ。
第2問
株式会社Xは、Yとの間で中古の機械を代金300万円で売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、当該機械をYに引き渡したが、Yが代金の支払をしないと主張して、Yに対し、本件売買契約に基づき代金300万円の支払を求める訴えを提起した。
この事例に関する次の各場合について答えよ。
1 Yは、第1回口頭弁論期日において、(1)「Xとの間で本件売買契約を締結したことは認めるが、契約締結後に当該機械の性能では購入の目的を達成することができないことが判明したから、本件売買契約は錯誤により無効である。」と主張した。ところが、第2回口頭弁論期日において、Yは、(2)「 X と本件売買契約を締結したのはYではなく 、Yが代表取締役をしている株式会社Zである。」と主張した。
Yの(1)及び(2)の各主張の訴訟上の意味を明らかにした上で、(2)の主張の訴訟法上の問題点について論ぜよ。
2 Yが、第1回口頭弁論期日において、「Xと本件売買契約を締結したのはYではなく、Yが代表取締役をしている株式会社Zである。」と主張したため、Xは、Yに対する訴えを取り下げた。その上で、Xは、改めてZを被告として同様の訴えを提起したところ、Yは、Zの代表取締役として、「Xと本件売買契約を締結したのはYであり、Zではない。」と主張した。
裁判所は、Zの主張をどのように取り扱うべきか。
刑事訴訟法
第1問
警察官Aは,甲に対する覚せい剤譲渡被疑事件につき,捜索場所を甲の自宅である「Xマンション101号室」,差し押さえるべき物を「取引メモ,電話番号帳,覚せい剤の小分け道具」とする捜索差押許可状を得て,同僚警察官らとともに,甲宅に赴いた。
玄関ドアを開けた甲に,Aが捜索差押許可状を呈示して室内に入ったところ,その場にいた乙が,テーブル上にあった物をつかみ,それをポケットに入れると,ベランダから外に逃げ出した。これを見たAらは,直ちに乙を追い掛け,甲宅から300メートルほど離れた路上で転倒した乙に追い付いた。Aは,乙に対しポケット内の物を出すように要求したが,乙がこれを拒否したため,その身体を押さえ付けて,ポケット内を探り,覚せい剤粉末が入ったビニール袋を発見した。Aは,乙を覚せい剤所持の現行犯人として逮捕し,その覚せい剤入りビニール袋を差し押さえた。
以上の警察官の行為は適法か。
第2問
甲は,交差点において赤色信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し,通行人を死亡させたとして,危険運転致死罪で起訴された。公判において,検察官は,事故を目撃したAを現場に立ち会わせて実施した実況見分の結果を記載した司法警察員作成の実況見分調書の証拠調べを請求したところ,甲の弁護人は,「不同意」との意見を述べた。
その実況見分調書には,・道路の幅員,信号機の位置等交差点の状況,・Aが指示した自動車と被害者の衝突地点,・甲の自動車が猛スピードで赤色信号を無視して交差点に進入してきた旨のAの供述,が記載されていた。
裁判所は,この実況見分調書を証拠として取り調べることができるか。
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