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(2)指名債権譲渡の対抗要件

架空請求のどこが頭悪いか

20050120-15:44 コメントする トラックバックする

 ここでは、以下の様な文面について検討します。

この度、貴殿が使用されたプロバイダーおよび電話回線から接続されたアダルトサイト利用料金について運営業者より未納料金に関する債権譲渡を受けました

弊社が回収受任しました今回の貴殿の債務については、これまで何度かの御連絡をさせていただきましたが、未だ貴殿からの御入金が確認できておりません。(○月○日現在)

このたび、弊社顧問法律事務所との協議の結果、以下のとおり決定し、本メールを最後の通知とさせて頂きます。

 もっともらしいことが書いてはあるものの、太字の部分を見ただけで明らかに頭の悪い文面だと分かります。その理由を書いてみます。

 簡単な借金関係を例にしてみましょうか。学生Aさんが大学の後輩Bさんに2000円貸しました。ちょっとメシ代でも建て替えたんでしょうかね。Bさんも直ぐに返す気マンマンだったとしましょう。この状態を矢印関係で表すとこんな感じ。

 あくる日、Bさんの元にAさんの友人を名乗るCさんが現れ、「Aへの2000円は俺が受け取ることになった」と言ってきたとします。BさんはCさんとは初対面です。この場合、貴方がBさんだったらCさんに2000円払いますか? 初対面の人間にいきなり「俺に金払え」なんて言われても普通は払いません。ここで払った後に「C?誰それ?知らないよ。とりあえず早く2000円返してくれ」とAさんに言われたら大ハマリじゃないですか。二重払いをすることになってBさんは大損です。こういう場合は払う前にAさんに確認を取るべきでしょう。

 じゃあ、Bさんが前日の夜にAさんから電話で「明日、Cってやつが行くからソイツに2000円頼むわ。」(=俺の持ってた矢印はCに渡したよ)とか言われていた場合はどうでしょう。これだったら安心して2000円を払えそうですね。

 この様な関係については民法に規定があります。

民法467条

1項

 「指名債権の譲渡は譲渡人がこれを債務者に通知し又は債務者がこれを承諾するにあらざればこれをもって債務者その他の第三者に対抗することを得ず。」(原文はカナ書き)

 上の例だと譲渡人がA、債務者がB、譲受人がCになります。つまり、Cさんが「俺は2000円っていう矢印(債権)をAから貰ったんだ。俺に払え」という事をBさんに言える為には、AさんからBさんに向かって「2000円の矢印(債権)をCに譲渡したからヨロシク」と通知する必要があるということです。なぜかって、それが一番安心じゃないですか。CさんだけじゃなくD、Eなんてのが登場して「俺が譲り受けたんだ」「俺だ」とか言い出したら収集がつきません。もともと2000円を受取る権利を持っていたAさんからの通知が一番信頼できるからです。

 また、BさんがCさんと面識があった場合等「あ、この人なら大丈夫だ。Aさんとも仲いいし」とCさんを信頼した場合には「その譲渡OKです」と承諾することができます。

 Cさんは、AさんがBさんに「矢印はCに渡したよ」と通知するか、Bさんが「その譲渡OKです」と承諾しない限り、Bさんに対して「金払え」と言えないってこと。これを「CはBに対抗できない」と言い、AさんのBさんに対する通知又はBさんの承諾の事を「指名債権譲渡の対抗要件」と呼びます。

 これを踏まえた上で上記架空請求文面を読んでみると、以下の様な事しか書いていないんですね。

 ある運営業者から矢印を受取った。俺に金払え。

 こんな頭の悪い話が通るわけありません。この文面じゃ本当にバカ業者(絵ではCさん)に矢印が渡されたのか不明ですし、そもそもの債権者(絵ではAさん)が誰なのかも分かりません。請求される側(絵ではBさん)としては、もともと誰に対していくら払わなきゃいけないものだったのかも分かりません。

 つまり、こーいう文面を送りつけてくる業者はすべからくバカですので放置でよいのです。

 尚、今まで書いたきた内容は元々2000円矢印が存在していたような場合です。通常の架空請求は元々の矢印自体が存在しないんですから、絵で描いたら以下の様になります。

 何を払えっちゅーねん。

このページのまとめ

▼たとえ実際に有料サイト等を利用したことがあってその料金が未払いの場合でも、もともとお金を払わなきゃいけなかった相手からの通知がない限り、請求してくるアホに払う必要なし。

▼そもそも利用料金なんてものが存在しないんだったら普通に無視でよし。

(1)架空請求のどこが頭悪いか
(2)指名債権譲渡の対抗要件
(3)少額訴訟における欠席裁判
(4)支払督促と証明責任
(5)架空請求の添削1
(6)架空請求の添削2、3

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