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(3)呼気検査拒否罪

道路交通法関連

20050120-16:07 コメントする トラックバックする

 2004年11月に施行された改正道路交通法で一番話題になったのは前ページまでの携帯電話ネタ。しかしそれ以外にも重要な改正ポイントがいくつかありました。その中の1つ、交通検問における呼気検査拒否に対する厳罰化について書いてみんとす。

道路交通法65条

1項

 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

道路交通法67条

2項

 車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第65条第1項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる

道路交通法119条の2

 第67条(危険防止の措置)第2項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、30万円以下の罰金に処する。

 改正前は5万円以下の罰金だったのが、一気に6倍に引き上げられました。おそらく、相当な数の酔っ払いドライバーが呼気検査の際にゴネたんでしょう。さて、一斉検問と呼気検査に付いての問題点を拾っていくと以下の通り。

 まず一斉検問の根拠規定(法律による行政。2004/12/08の職務質問ネタ参照)は通説的に警職法2条1項。つまり職務質問の一種なのだと考えます。自動車に乗ってる人の不審事由を質問で確認するには、短時分の停車を求めることが不可欠ですから。

 んで、酒気帯び運転の一斉検問の場合にはお巡りさんがクンカクンカと臭いを嗅いできたりしますわな。都市部だと検知器に息を吹きかけてーってのもあるのかな?臭いの他、運転者の挙動や見た目(目が血走ってるとか)に不審な点が無ければはいサヨウナラ。酒気帯び運転っぽい不審事由があれば呼気検査タイム。よく「警察密着24時!」なんて番組でビニール袋に息を吹き込んでるアレですね。

 アレを拒否すると犯罪になるんだそうです。それが道路交通法119条の2。まずこの規定が憲法で保障された自己負罪拒否特権を侵害するのではないかとも思われるものの、

憲法三八条一項は、刑事上責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したものと解すべきところ、右検査は、酒気を帯びて車両等を運転することの防止を目的として運転者らから呼気を採取してアルコール保有の程度を調査するものであって、その供述を得ようとするものではないから、右検査を拒んだ者を処罰する右道路交通法の規定は、憲法三八条一項に違反するものではない。

 別に呼気は「供述」じゃないしなー…で合憲(最判平9.1.30。当時の道交法120条1項11号は現119条の2)。ふーん。

 じゃあ実際に酒気帯び運転してる人が検査拒否をするとお巡りさんにどんなことをされるのかを考えてみると、呼気検査拒否の現行犯で逮捕されちゃったりするのですな。逃亡のおそれが明らかですからこれはやむを得ません。注意点は、飲酒運転や酒気帯び運転で逮捕される訳ではないこと。

 では逮捕されたら無理矢理呼気検査をされたり採血されたりするのかと言えば答えはNOです。呼気採取や採血は相手方の重要な利益(具体的にはプライバシー権)を侵害する行為ですから、強制採取することは無令状ではできないのが原則。これは身体拘束下でも同様です。

 つまりたとえ検査拒否罪について痛い目を見ても、酒気帯び運転や飲酒運転の物的証拠を検問現場で無理矢理取られることがない以上、飲酒運転・酒気帯び運転については痛い目を見ないで済むようにも思えるのです。そして法定刑は呼気検査拒否罪の方が軽め。だったら拒否したほうがマシかも、と思われるかもしれません。

強制採血という最終手段

 ただ、拒否の態度が頑なな上に酒の臭いをプンプンさせてる様なアホの場合には素早く現行犯逮捕されて最寄の施設へ連行され、これまた素早く令状を持ってきて医師による強制採血のコースも準備されています。血中アルコール濃度から逆算して運転時の酒気帯びが立証されれば呼気検査拒否と酒気帯び運転の併せ技でとんでもない目に遭わされますので、酒を飲んだら運転するなという面白くもなんともない結論になってしまいました。

 忘年会・新年会シーズンは検問が増えます。安易に検査拒否とか突っ張らない方がお得説。お巡りさんだって寒い中仕事してるんだし…。

(1)道路交通法と携帯電話
(2)違反すると…
(3)呼気検査拒否罪
(4)自転車や馬の酒気帯び運転?

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