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刑法

解説ページ付き六法ちゃん

20050120-16:20 コメントする トラックバックする

(絵:ぎん太さん@TABLET

刑法とは

 犯罪と刑罰に関する法規のことです。一般に刑法と言った場合には「刑法」という名前の法律のことを指しますが、これ以外にも犯罪と刑罰について規定がある法規は広い意味での刑法に含まれます。例えばニュースでよく耳にする特別背任罪は商法上規定された犯罪ですし、身近な所では道路交通法も広い意味での刑法に含まれることになります。

 その主な役割は以下の通り。

▼社会秩序維持機能
 これには法益保護機能と予防機能があります。

 ●法益保護機能
 法益とは、法律によって守られるべき利益のこと。刑法というルールが存在することにより、我々の命や財産等の利益が守られることが期待されます。
 ●予防機能
 予防機能には、社会の一般人が犯罪行為に出ないように予防する一般予防機能と、特定の者(例えば一度犯罪を犯してしまった人)が 将来犯罪行為に出ないように予防する特別予防機能があります。

 刑法が存在し国民に「こーいうことは犯罪で罰せられますよ」と予告することでこれらの機能が果たされることになります。

▼自由保障機能
 これは通常更新で触れた罪刑法定主義(2003/08/26)に関わるところ。何がルール違反なのかを明確にしておくことにより一般の国民が自由に振舞える範囲が特定され、保障されることになります。
 それと同時に犯罪に対する刑が法定されることにより恣意的な刑の適用が排除され、犯罪を犯した者の自由も保障されることになります。

 これらの機能により強力な役割を果たしていく刑法ですが、諸刃の剣であることは否めません。「前科者とは一生付き合えない」みたいな考えが色濃く残っている社会では、一度刑法のお世話になった人が「どうせ前科者と後ろ指さされるんなら…! 」とヤケになることも多く、こういう弊害を招かないためにも刑法の出番はなるべく少ない方がイイのです。刑罰を科さなくても犯人が反省して被害者への謝罪・損害賠償・社会復帰してくれればそれに越したことはないですし、そもそも刑法で脅さなくても社会の人々が犯罪に出ないようになれば言うことはありませんよね。この様に刑法の出番は制限されるべきである、ということを刑法の謙抑性と呼びます。

 社会不安を理由に新たな罪の創設・既存の罪の重罰化を叫ぶのはスリリング。刑法に頼る前にやれることをやった方が吉なのです。

デザイン上の妄想

衛兵服


 刑法ちゃんを考えるに当たり一番迷った部分。結局1人で「刑法」を表すのが難しかったので、各犯罪類型毎に隊員が配置されている警備隊みたいなのにしました。何となくバッキンガム宮殿の衛兵が思い浮かんだのでそのまんまの服に。注文時の妄想以上に仕上げてくれたぎん太さんに脱帽。



 実際に現場で見張りについている連中は8時間3交代制。隊長には刑法全体を貫く基本ルールたる「総論さん」がいる模様。



総論さん┓

      ┣暴行罪担当班

      ┣傷害罪担当班

      ┣傷害致死罪担当班

      …(各班5人1組)


 非番や勤務時間調整のため、各班5人1組にしてみる説。いや、こんな設定どうでもいいと言えばどうでもいいけど。






 今回カラーで描いてもらったのは新設されて間もない危険運転致死傷罪担当班の若手隊員。わざわざ刑法で規定するまでもなく、普通の頭を持った人なら犯さない犯罪類型のはずなんですが…予想以上にこの立入禁止領域に突っ込んでくるバカが多いので、担当班員も少々ウンザリしている模様。



 夜でも目を光らせるとかそういうことをデザイン時に考えていたはずなのですが、デザイン時のイシダはいつも通り限定責任能力状態でしたのでよく憶えてません…と書いて言い訳しようと思ってたら資料が残ってた。






 これに基づいて試し描きしてもらった第1案は「これじゃ道交法ちゃんじゃないかー!」って理由でボツになった説。あと別に猫耳とか好きじゃないです。嫌いでもないけど。

立入禁止テープ


 刑法の機能の部分でも書いた通り、立入禁止ラインを明確にしておくのが刑法の重要な役割。3本のテープの意味は以下の通り。



 「犯罪が成立する」とはどういうことなのでしょうか。単に道徳的に悪いとされること(例えば映画館で着メロを鳴らすとか)が、ダイレクトに犯罪とならないことは明らかです。前述の刑法の謙抑性から、犯罪とされ刑罰を科される行為は限定されているべき。そこで、我々が一般に考える「悪いこと」の中でも特に国家による刑罰という制裁を受けるに相応しい行為(当罰的行為)であり、かつ現に法律によって刑罰を科すことができる行為(可罰的行為)が犯罪であると考えます。



 当罰的(まさに罰せられるべき)行為であると言えるには、社会倫理に反し法益を侵害する行為(=違法行為)でありかつ行為者を非難できる行為(=有責行為)でなければなりません。たとえ誰かの利益を侵害する行為でも侵害者の行動に社会倫理に背く部分が無ければ罰するのは酷ですし、「ダメじゃないか」と非難しても意味の無い人を罰するのは無駄です。



 また可罰的(罰することができる)行為と言えるためには、当罰的行為であることを前提にして、予め刑罰法規に定められた一定の犯罪類型に該当する行為(=構成要件該当行為)でなければなりません。これは罪刑法定主義から。構成要件とは「実際に条文に書いてある犯罪類型」みたいに考えておいて下さい。



 以上より刑法学の世界では、犯罪=「構成要件に該当する違法有責な行為」と定義されます。そして構成要件はTatbestand(タート・ベシュタント)でTb、違法性はRechtswidrigkeit(レヒツ・ヴィードリヒカイト)でRw、有責性はSchuld(シュルト)でSと略されます。このTb→Rw→Sの順番で3本のテープを全て突き抜けた行為のみが犯罪とされるのです。

 各テープの意味について簡単な例を挙げてみましょう。

●映画館でうっかり着メロを鳴らしてしまった
 …その様な形の犯罪類型は規定されていない→犯罪ではない

●ボクサーが試合で相手選手を殴った
 …暴行罪又は傷害罪という犯罪類型に該当する行為ではあるが、試合の中の正当行為であり社会倫理に反するものではなく違法ではない→犯罪ではない

●10歳の男児がコンビニでお菓子を盗んだ
 …窃盗罪という犯罪類型に該当する行為でありかつ社会倫理に反する違法行為であるが、刑事責任能力がなく有責とは言えない→犯罪ではない

 この様に3本のテープにより少しでも犯罪とされる行為が減る様に工夫されてるわけですね。とは言えもともと各構成要件というのは社会的に悪いとされる非難可能な行為を集めてきて作った枠組みですから、その枠組みに入る行為(Tb該当行為)として1本目のテープを破ったら一気に3本目のSまで破っちゃうのが普通ですが…。正当防衛でRwを争ったり心神喪失でSを争ったりするのは例外的なパターンです。

 ちなみに、このテープを3本とも突き破った人を連れて行くのは刑法ちゃんではなく刑事訴訟法ちゃんのお仕事。それについては別の機会に…。

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