国籍条項の解説に関連したお便り
20050129-11:40 コメントする トラックバックする
「国民の権利・義務」という文言に着目して、外国人には憲法の人権規定は当然には適用されないとする学説はありますよ(小嶋=大石『憲法概観・第6版』75頁参照)。 ついでに大石教授は「平等権なる権利は存在しない。そんなことをいう学生は勉強不足だ」とおっしゃってました(笑
平等権については舌足らずだったかも。 平等権っていうのは他の具体的な権利・自由があることが前提になるので、平等権のみを単独で論じるのは駄目だみたいな趣旨です。 まぁどうでもいいことですが、公開されるのであればこの部分は削除されるなり改変されるなりしてください。
外国人の人権享有主体性については通説的見地からのことしか書いていません。これは、憲法の勉強をしたことのない人にも今回の判決の意味を少しでも分かり易く表現しようとしたからです。論文試験の答案練習であれば反対説にも言及するでしょうけどね。
同様に、平等権についても何が不平等で憲法のどの規定に違反しそうなのかということを中心に書いています。
14条は、国の指針を定めた客観的な法原則としての平等原則と、それを個人の側から捉えた人権としての平等権とを表裏一体のものとして規定しているものだとイシダは考えます(芦部『憲法・新版』123頁 「日本国憲法は…平等権ないし平等原則の徹底化を図っている」)。今回は「問題となっている外国人の人権」というくくりで公務員就任権と並べて書いたため、個人の側から捉えて平等権というアプローチで書きました。
ご指摘の通り、単に「不平等な扱いをされた!」と言うだけでは意味がなく、具体的にどんな人権との関係でどの様に不合理な取扱いをされたのかが明らかにならなければ、平等権ないし平等原則の問題とは言えません。
今回は、職業選択の自由・公務員の選定罷免権及び国民主権原理から日本国民に公務員就任権が保障されていることを前提に、管理職公務員については外国人にその保障が及ばず、これについて平等権ないし平等原則が問題となっています。だからこそ公務員就任権と並べ、「管理職公務員となる権利が日本国民と同程度に保障されていないことが合理的な区別か否か。」と繋げてみたのですが、これが上手に伝わらなかったとすればイシダの文章の未熟さ故。勉強不足との批判は甘んじて受けねばなりませんね。
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