論文答練終了
20060327-21:53 コメント (5) トラックバックする

これで日曜6時のバスでお茶の水に通うことはなくなりましたYO。あとは月曜9時のバスでエッチラオッチラと択一オープン。ああこうやって現行受験生へのサービスは消えてゆくのでございます。
ちなみに最終回の出題者は先日のラジオでも話題に上がった中大の名物(?)教授であった齋藤誠二先生でした(今は筑波大の名誉教授)。お便りで紹介していただいたページの内容にも少し絡むものだったので、折角だから問題文の一部をご紹介。
Aは殺す意志で、Bは怪我を負わせる意志で、Xを「やっつけよう」と話し合い、それぞれ3発ずつ同時にXに向けピストルを撃ったが、Aの撃った弾はXに当たらず、Bの撃った弾はXに当たりXを死なせたが、そればかりではなくて、たまたまそこを通り合わせたYとZにも当たり、Yに怪我を負わせZを死なせてしまった。
(中略)
AとBの刑責はどうか。
敵対する暴力団の幹部を殺そうとスナックに乱入して発砲し、無関係の市民にまで被害が及んだ事件なんかにも似てますね。これに被害者自身の行動を道具として利用した場合の間接正犯問題が加わったものが第一問。第二問は盗品等罪メイン。両方とも問題文長いし書くこと多いしでヘロヘロですよ。
ちなみに結論としては、AはXに対して単独での殺人未遂罪・共同正犯としての傷害致死罪、Yに対して単独での殺人未遂罪・共同正犯としての傷害罪、Zに対しては単独での殺人未遂罪・共同正犯としての傷害致死罪の刑責を負い、BはXに対して傷害致死罪、Yに対して傷害罪、Zに対して傷害致死罪の刑責を負います。AもBも殺人既遂罪にはならんのですね。
別にAもBもYやZに危害を加えようとは考えていなかったのに、なぜ過失致死や過失致傷でなく殺人未遂や傷害・傷害致死になるのかっていうのがミソなのですが、これを書き始めるとイシダは楽しいんですけど読んでる人はダルいと思います…ってのがお便りでご紹介いただいたページに書いてある内容とちょっと似てる説。
Aの撃った弾は結局だれにも当たっていないので、Xの死にもZの死にも(殺人罪の構成要件としての)因果関係が認められないってことですね。
共同正犯としてBとの相互利用補充関係が認められる傷害の故意の限度で因果関係が補充されますから、傷害→傷害致死の限度でしかAに帰責することができない感じ。
おまけで書いてみると、もしBがAと同じくXを殺す意思で拳銃を撃っていた場合にはABは殺人罪の共同正犯となり、Aの弾がXに当たっていなくてもAB共に殺人既遂罪が成立しますYO。当たり前ですけど。
AにXとZに対する殺人既遂罪の単独正犯が成立しないのはBの行為とX・Z死亡結果の因果関係がわかってる以上、Aの単独正犯については結果を帰責できないってことでいいんでしょうか?
>名無しさん
うーん、度肝を抜くほど短くかつ簡単に書こうとすると、
「人に向かって拳銃を撃っていいのかわるいのか」という問題に直面しつつ、「それでもいいや!」と行為に及んだ以上は、たとえ予想外の人に弾が当たっちゃったとしても、それについての故意アリとされますよ。なぜなら、故意犯が重く処罰される理由は、まさに「それでもいいや!」とルールを踏みにじる点にあるからですよ。予想外の人に結果が生じたからって、「人に向かって拳銃を撃っちゃえ!」と決めたアナタには故意があるでしょ!
…ってことです。
>ありあさん
AもBも1回の行為で全ての結果を生じさせているので、観念的競合になります。でもイシダはAの共同正犯絡みの罪は殺人未遂に吸収されて、3つの殺人未遂が観念的競合になるって書いちゃいました。んあー。
ついでに罪数関係も書いてもらえると楽しかったり。
>別にAもBもYやZに危害を加えようとは考えていなかったのに、なぜ過失致死や過失致傷でなく殺人未遂や傷害・傷害致死になるのかっていうのがミソなのですが、これを書き始めるとイシダは楽しいんですけど読んでる人はダルいと思います
ダルイと言うか、ここを書いてくれないと。。。
ってなわけで書いてちょ。